エンジニアでもデザイナーでもない「プロダクト設計者」の役割
目次
プロダクト開発では、アイデアや要望があるだけでは、実際に使われる形にはなりません。
目的、ユーザー、業務フロー、技術的な制約、品質・コスト・納期のバランスなどを整理し、
関係者が判断できる状態にしていく必要があります。
しかし実際の現場では、要件定義を始めても判断軸が揃わなかったり、
成果物とユーザー価値・事業価値の接続が見えにくかったり、
理想はあっても実現方法や必要な体制が整理できないことがあります。
このような状況は、ビジネス職、企画職、デザイナー、開発者のあいだで、共通認識や橋渡しが不足しているときに起こりやすいものです。
ここで必要になるのが、「設計」という役割です。
プロダクト設計者が行うこと
プロダクト設計者は、アイデアをそのまま形にするのではなく、目的・制約・ユーザー体験・実装可能性を整理しながら、「使える状態」まで落とし込む役割です。
具体的には、以下のようなことを行います。
- ゴールの確認と共有
- QCD(品質・コスト・納期)の優先順位の合意
- 要件の曖昧さの可視化と言語化
- ゴールから逆算した重要度の整理
- ユーザーの操作として成立する流れへの落とし込み
- ワイヤーフレームなどによる具体化
- バックエンドや運用上の制約を踏まえた仕様化
- 矛盾や抜けが発生しにくい構造への整理
つまり制約を踏まえた上で、アイデアを使える形まで落とし切り、プロダクト全体の成立を設計する役割です。
「プロダクト設計者」はデザイナー、エンジニアと何が違うのか
デザイナーは主に、ユーザー体験や情報の見せ方を設計します。
エンジニアは主に、技術的な実現方法や実装の品質を担います。
プロダクト設計者は、その前段で「何を、どの順番で、どこまで作るか」を整理し、仕様の抜け・矛盾を減らしながら、各職種のアウトプットがつながる状態をつくります。
PMがそのような役割を担うのでは?と思う方もいるかもしれません。
しかしPMと一口で言っても、戦略策定、意思決定、開発チームの監督、ビジネス面での成長など、多様な役割を求められます。そのため、PMひとりが「今の現場で成立するか」「どうすれば使える状態まで到達できるか」まで細かく見続けることは、現実には難しい場面もあります。
その結果、関係者が集まって議論していても、判断に必要な情報や整理の軸が不足し、着地点を見出しにくくなることがあります。
プロダクト設計者がいると何が変わるのか
プロダクト設計者が入ることで、要件・仕様・画面・実装のあいだにある認識のズレを減らし、チームが判断しやすい状態をつくることができます。
その結果、
- 手戻りが減る
- 不要な実装が減る
- 完成度が高まる
- 意思決定が早くなる
- チームが迷いにくくなる
といった効果が生まれます。
私はこれまで、要件が固まりきっていない段階から関わり、
UI/UX設計からフロントエンド実装までを一貫して担当しながら、必要な範囲で調整や仕様整理も行い、
プロダクトを「使える状態」まで成立させる役割を担ってきました。
実際に関わったプロジェクトでも、研究・検証段階の取り組みが、短期間で実プロジェクトへ導入・展開される事例がありました。
プロダクト設計者は「すべてを抱えること」が価値ではない
プロダクト設計者は、必要に応じてUI作成や実装にも対応します。
ただし、設計者があらゆる実務を継続的に抱え込むと、構造を見る時間が減り、各専門領域の責任も曖昧になりやすくなります。
また、「その人がいないと判断も実装も進まない」状態になると、プロダクトやチームの持続性を損なう可能性があります。
そのため、プロダクト設計者にとって重要なのは、すべてを自分で行うことではなく、成立に必要な部分を見極め、判断の質とチームの機能を保つことだと考えています。
一方で、
- 仕様を具体化するためのプロトタイプ
- 判断を進めるための簡易実装
- ユーザー体験を確認するためのUI作成
については、設計の一部として対応します。
実装やデザインは、単に「作るため」ではなく、関係者が判断し、プロダクトを前に進めるために扱います。
要件が曖昧な段階から整理できます
プロダクト開発では、設計が曖昧なまま進むほど、後から判断の揺れや手戻りが大きくなります。
- 要件はあるが、前提が揃っていない
- 判断が都度変わる
- どこまで作れば成立なのかが見えていない
このような状態では、開発は進んでいても、ユーザーに価値が届く形や、事業として成立する形にたどり着きにくくなります。
プロダクト設計者の役割は、目的・制約・ユーザー体験・実装可能性を整理し、
「何を、どこまで、どの形で作れば成立するか」を定義することです。
要件が曖昧な段階からでも整理できます。
プロダクトをユーザーにとっても、事業にとっても有益な形に設計していきたい場合は、お気軽にご相談ください。